昨日に続き、スコッチ世界売上ランキングTOP10に入っているブランドを掘り下げていこうという企画。
改めてですが、以下のサイトで2021年のスコッチ世界ランキングが20位まで紹介されており、それぞれのケース数も記されています。非常に分かりやすい。
1.Johnnie Walker (14.1 million cases)2.Ballantine’s (7)3.Grant’s (3.6)4.William Lawson’s (3.3)5.Chivas Regal (3.2)6.Black & White (2.9)7.William Peel (2.8)8.Label 5 (2.6)9.Dewar’s (2.6)10.J&B (2.3)11.White Horse (2.1)12.Bell’s (2.1)13.Passport (1.8)14.Sir Edward’s (1.8)15.Buchanan’s (1.5)16.Teacher’s Highland Cream (1.4)17.100 Pipers (1.3)18.Clan Campbell (1.3)19.Glenfiddich (1.2)20.The Glenlivet (1.2)
ということで、今回は2位のバランタインについて掘り下げていきましょう。
2.Ballantine's
バランタイン
バランタイン17年 |
製造元はジョージ・バランタイン&サン社。現在のオーナーはペルノリカール社。
ジョージ・バランタイン |
歴史
1827年、ジョージ・バランタインはエディンバラで食料品とワイン、ウイスキー類を扱う商人アンドリュー・ハンターのもとでの徒弟奉公を終了し、エディンバラのカウゲートに小さな食料品店をオープン。その4年後、23歳のジョージはカウゲートからほど近いキャンドルメーカーズ・ロウに店を移す。(現行ボトルにも設立は1827年と記されています)
1836年、由緒あるサウス・ブリッジに店を構え、ジョージが得意とする顧客である貴族や上流階級を相手に、サービスと品質のよさでバランタイン社の商売は繁盛。
1853年、エディンバラでウイスキー商を営むアンドリュー・アッシャーが、熟成期間の異なるさまざまなモルトウイスキーを混ぜ合わせたヴァッテッド・モルトウイスキーを製造。アッシャーの友人であったジョージは、この発見と彼の苦心談に閃き、グレーンウイスキーとモルトウイスキーを混ぜ合わせブレンドの技術を磨き始めます。他社も同じようにブレンディングの技術を磨いていく中、ジョージは知識と経験をどんどん深め「バランタイン」の評判は高まっていきました。
1869年、ジョージは長男であるアーチボルトに商売を任せ、ウイスキーのブレンディングに打ち込むためにグラスゴーへ移住。ジョージはグラスゴーでウイスキーの卸売りを軌道に乗せ、独自のブレンデッド・スコッチの完成を目指す。これがのちのバランタイン17年の礎となったそうです。
1895年、ジョージから商売を引き継いだアーチボルトは、エディンバラの目抜き通りプリンシズ・ストリートに店を開く。この店は上流社会の人々に愛顧され、やがて国内外にバランタインの名が広まりました。
またその同じ年、グラスゴーではジョージ2世が父親(ジョージ)から事業を引き継ぎました。そしてヴィクトリア女王がグラスゴーを訪れ、バランタイン社に王室御用達の称号を授与。
1937年、マスターブレンダーのジョージ・ロバートソンによってバランタイン17年が生み出されました。ジョージ・バランタインがこの世を去って約50年の月日が流れた頃でした。(このバランタイン17年の極秘レシピは、現在に至るまでほとんど変わっていないそうです)
1938年、バランタイン社はブレンディングに必要なグレーンウイスキーを製造するための蒸留所をダンバートンに建設。敷地内には、小さなモルトウイスキー蒸留所や広大な貯蔵庫、ブレンディングやボトリングのための工場を併設。その総工費は300万ポンド、現在の日本の貨幣価値に換算すると700億円超。
また、スコットランド紋章院長官により、新生バランタイン社を象徴する紋章に認可状が交付されました。
バランタイン社の紋章 |
紋章の中央には4分割された盾があり、ウイスキーづくりの4大要素が描かれています。大麦、清流(水)、ポットスチル(蒸留釜)、そして樽。
マスターブレンダー
また、バランタインは長い歴史の中でマスター・ブレンダーが5人しかいないというのも特徴的。
1.ジョージ・バランタイン 1827年〜
2.ジョージ・ロバートソン 1937年〜
3.ジャック・ガウディ 1959年〜
4.ロバート・ヒックス 1994年〜
5.サンディ・ヒスロップ 2005年〜
2代目のマスター・ブレンダーであるジョージ・ロバートソンこそ、バランタイン17年を世に送り出した人物。バランタイン17年は"THE SCOTCH"(ザ・スコッチ)と称されるスコッチ・ウイスキーの代名詞的存在です。
キーモルト
かつて「バランタインの魔法の7柱」と称されたスキャパ(アイランズ)、プルトニー(ハイランド、以下H)、バルブレア(H)、グレンカダム(H)、グレンバーギ(スペイサイド=以下S)、ミルトンダフ(S)、アードベッグ(アイラ)。そしてグレントファース(S)など。
現在、グレンバーギ、ミルトンダフ、グレントファースの3蒸留所は、「バランタインズ・シングルモルト」というシリーズで、ボトルに"Ballantine's"を冠したシングルモルトがリリースされています。グレンバーギ(15年・18年)、ミルトンダフ(15年)、グレントファース(15年・23年)。
※この3蒸留所は全てペルノリカール社所有
グレーン
ペルノリカール社が所有するストラスクライド(Strathclyde,ローランド)
個人的な話
バランタインには40年ものも存在するようですね。我が家に来た中(というかバーも含めて私が今まで飲んだ中)で一番熟成が長いのは30年もの。
2013年の正月のウイスキーがそれでしたね。
いまだにこの木箱は我が家の工具箱として活用されております。本当に素晴らしい箱なんです。バランタイン30年はどんどん値段が上がってますね。2013年当時、1万円強で購入しましたが、2019年の段階で2万円を超え、現在は3万円を超えております。おやおや。
ということで今回は世界2位のバランタインについてでした。
それでは皆さん、良い夜を。
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