2026年9月26日土曜日

ウイスキーラベルに描かれた鳥⑥花と動物シリーズ その肆

こんばんは。花と動物シリーズに関しては、今日で最後になる・・・はず。

画像は信濃屋さんから

Mannochmore 12
マノックモア12年。現在も流通しているボトルです。こちらにはアカゲラというキツツキが描かれています。


アカゲラ(Great Spotted Woodpecker) Dendrocopos major
キツツキ目キツツキ科アカゲラ属

ラベルに描かれているのはアカゲラが木に穴を開けている様子。ちなみに上の写真は2018年に北海道で撮影したものです。

全長24cm。旧北区に広く分布しており、どの地域でも留鳥。日本では北海道、本州の森林に生息し、四国でも少数が生息。イギリスでは全土で留鳥だがアイルランドには生息していないそうです。

スコットランドで観察できるキツツキ類は3種類で、本種アカゲラとアリスイ(Eurasian wryneck)Jynx torquilla、ヨーロッパアオゲラ(European Green Woodpecker)Picus viridis。マノックモア12年のラベルを見ていると、キツツキ類が行うドラミングの軽快な音色が聞こえてきそうです。



画像はRUDDERさんから

Mortlach 16
モートラック16年。現在は流通されていないボトル。なかなかプレミアムな値段が付いてますね。


カワアイサ(Common Merganser) Mergus merganser
カモ目カモ科ウミアイサ属

写真は2021年に広島県安芸太田町戸河内で撮影したもの。ボトルに描かれているのは雌ですが、写真は雄です。

全長65cm。日本では主に冬鳥で、北海道では少数が留鳥として繁殖。グレートブリテン島ではスコットランド全域、ウェールズ全域、イングランド西側で留鳥、イングランド東側で冬鳥。

アイサ類は他のカモ科と異なり、嘴が細長くかつ先端が鍵状に曲がっているのが特徴。そのため食性がウ(鵜)に似ていて、水の中で魚を追いかけて捕食。

モートラック16年のラベルに描かれていたのは、本種の雌が木の巣から顔を覗かせている様子。本種はこれまたカモ類では珍しく、樹洞を巣として利用(地上で巣を作ることも)。樹洞での営巣は、カモ類では他にオシドリ(Mandarin Duck)Aix galericulataが知られていますが、カモ類にとってやはり珍しい習性と言えます。また、カワアイサはあまり群れることがなく単独か番(つがい)で行動していることが多く、これは他のカモ類だけでなくアイサ類の中でも珍しい特徴。このようなカワアイサの特徴を意図していたのかは判りませんが、モートラックという「ディアジオ社の異端児」に相応しいシンボルだと言えそうです。



Auchroisk 10
オスロスク10年。現行品も出回っているボトルです。ヨーロッパアマツバメが虫を捕食しようというシーンが描かれています。

画像はeBirdから

ヨーロッパアマツバメ(Common Swift) Apus apus
アマツバメ目アマツバメ科アマツバメ属

全長17-18.5cm。日本ではよくツバメ類と混合されるケースが多いが、アマツバメ類とツバメ類は全くの別種。アマツバメ類はアマツバメ目に属しているのに対し、ツバメ類はスズメ目に属する鳥で姿形は似ているがDNAではかなり遠い鳥です。

アマツバメ類は生活の大半を空中で行っており、特にこのヨーロッパアマツバメは交尾や睡眠も飛行中に行うことが知られています。地面に降りるということは一生のうちでほぼ皆無に等しく、彼らが空中での生活を一時的に止めるのは子育て中くらい。飛ぶことに関して非常に長けており、水平飛行で約160km/hというマックススピードは鳥以外の動物も含めて飛行する生き物の中で最速。

本種はイギリス全土で夏鳥。日本では迷鳥として記録があります。



画像はRUDDERさんから

Royal Brackla 10
ロイヤルブラックラ10年。現在はバカルディ社のシングルモルトとして日本でも精力的にプロモーションを展開している同蒸留所ですが、当時はUD社所有で、当ボトルも大変希少価値の高いレアアイテムになっているものと思われます。


マヒワ(Eurasian Siskin) Carduelis spinus
スズメ目アトリ科カワラヒワ属

ボトルの絵柄から、種の同定が難しかった鳥の一つ。写真は2020年に広島で撮影したものです。

全長12-13cm。スズメ(Tree Sparow)Passer montanusより一回り小さい鳥。スコットランド北部で夏鳥、スコットランド中部・南部、ウェールズで留鳥、イングランドで冬鳥。日本では北海道で夏鳥、本州以南で冬鳥。

繁殖期以外は群れで移動しながら生活しており、騒がしくお喋りをしながら飛び回っている様子を観察することができます。本種は特に聖書や伝記とは関連がなく、”Royal”との関連性もあまりないようです。これらのことから、単に蒸留所周辺でよく観察される鳥として描かれてたものだと思われます。


画像はWhisky Data(仮)さんから

Speyburn 12
スペイバーン12年。


キセキレイ(Grey Wagtail) Motacilla cinerea
スズメ目セキレイ科セキレイ属

この鳥についても同定はかなり難しかったです。というか、今でもまだ半信半疑なところがあります・・・。

全長20cm。スコットランドではハイランドやスペイサイド地方で夏鳥、ローランドやハイランドの沿岸部などでは留鳥。

セキレイ類の中でも特に水辺への依存度が高く、ラベルにも小川の上を飛んでいく様子が描かれています。日本書紀ではイザナギ、イザナミの国生みの際、性交の仕方が分からなかったところにセキレイが現れ、セキレイが尾を上下に振る動作を見てその方法を知ったという記述がありますが、英名の”Wagtail”も「尾を振る」という意味で類似性が感じられる部分です。



Strathmill 12
ストラスミル12年。

画像はeBirdから

ハクセキレイ(White Wagtail) Motacilla alba
スズメ目セキレイ科セキレイ属

写真はあえてeBirdさんから拝借いたしました。というのもハクセキレイは亜種が多くて、ボトルに描かれている亜種の写真を撮ったことがなかったもので。

全長21cm。旧北区に広く分布しており、亜種が多数認められています。イギリスおよびアイルランドで見られるのは亜種M. a. yarrelliiというこの地域限定の種。ヨーロッパ本土にいる基亜種M. a. albaに比べ、背中の黒味が強いのが特徴で、ストラスミル12年のラベルにもその特徴がよく反映されています。



という事で、「花と動物シリーズ」に描かれている(描かれていた)鳥についてはここまで。次回からはスコッチウイスキーのオフィシャルボトルに描かれている鳥について綴っていきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。


それでは皆さん、良い夜を。

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