日本には冬鳥として訪れる大型の海鳥。広島県の鳥には昭和39年(1964年)7月13日に制定されたそうです。呉市の豊島(とよしま)周辺の海が『アビ渡来群游海面』として、国の天然記念物に指定されています。
アビを利用したアビ漁についてはwikipediaに詳しいです。
瀬戸内海に浮かぶ斎島(呉市旧豊田郡豊浜町)では、アビ類(正確にはほとんどがシロエリオオハム)を目印にした「鳥持網代」(とりもちあじろ)または「鳥付網代」(とりつきあじろ)と呼ばれる漁場での漁「イカリ漁」が古くから行われていた。アビ漁は江戸時代の元禄あるいは寛永に始まったといわれ、かつては芸予諸島の竹原市忠海沖から防予諸島の屋代島(周防大島)沖まで広範囲に行われていた。アビの群れが好物のイカナゴを取り囲むようにして攻撃すると、追い込まれたイカナゴの群れは海中に潜る。これを狙ってマダイやスズキがやってきたところを一本釣りするというものである。それゆえこの地域ではアビを大切に保護してきた。この地域は「アビ渡来群游海面」として1931年(昭和6年)国の天然記念物に指定され、1964年には広島県の県鳥に指定されている。しかし、約300年続いた広島のアビ漁も過去の話となった。限度を越えた大量の海砂採取で海底が荒れ、イカナゴが棲む生態系が破壊されたこと、高速船の運行でアビ類の生息が脅かされたことが、減少の原因と考えられている。1986年(昭和61年)を最後にアビ漁は途絶え、今では瀬戸内海でアビ類をみることさえまれである。古文書には万を数えるほどの記録のあるアビ類も、豊浜町では60羽ほどの飛来があるのみである。豊浜町の隣島の上蒲刈島でも、海岸からアビ類を観察できる。なお、現在は条例で海砂採取の制限をかける自治体が増えてきたが、すでに遅しの感があり、個体数の回復は絶望的と見られている。
まさにここに書かれている通りで、「すでに遅しの感」は半端ないです。実際、江戸時代に数万羽、1960年代でも数千羽が飛来したというこの海域。昨日うかがった話では今シーズンは40羽ほどとのことでした。どうにもならんのですかね・・・。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/tayousei/hogokuiki-abi.html |
こちらが特別保護指定区域とされている海域。斎島(いつきしま)周辺の海域を中心に大崎下島から下蒲刈島までのエリアが指定されています。12月1日〜4月30日までこの海域にレジャー船などは立ち入り禁止となります。
実はこの7年で3回ほど、この時期に単独で探しに行っておりました。そして悉く出会うことはなかった。なので今回は日本野鳥の会広島支部が主催している探鳥会に参加して探すことにしました。
それが昨日行われたわけですが、この地でずっとアビ観察をしている先生や案内役の先生のご指導のもとようやく観察することができました。いやーーー、あれは自力では無理ですわ。遠くの海上にぽつん。ですからね。全部で8羽見れたわけですが、これはめっちゃ困難。
今回みれた8羽はシロエリオオハムGavia pacifica。先生曰く、ここにやってくるアビ類の99%はシロエリオオハムだそうです。他にオオハムG. arcticaやアビG. stellataも飛来することがあるそうですが。それなのに県の鳥がアビとなっているのは、「アビ類の総称としてそうなっている」というわけではなく、国の天然記念物に指定する時に訪れた国の機関の方が「シロエリオオハムをアビと間違えた」からだそうです。
これが事実なら、なんて残念なんでしょう笑
広島県の鳥は「シロエリオオハム」が正解なんですね。
夏羽の写真を並べてみると、結構違いますね。
シロエリオオハム |
アビ |
ちなみに3月と言うのはアビ類にとって換羽の時期で、風切羽がごっそり抜けて一時的に飛ぶことができなくなる時期だそうです。なんとも原始的でかつ危険な換羽の方法。だからこそ船の往来が多くなると危険を感じて近寄らなくなるのかもしれません。
そしてこれがカメラでなんとか姿を捉えることができた証拠写真(にもならないほどの胡麻粒)。いやーーーー遠いwww
広島県民の皆様、是非皆様のアビ(シロエリオオハム)に対する関心が高まり、環境保全への動きに繋がればと思っております。末長くアビ達がやってきてくれる海で有りますように。
それでは、良い夜を。
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