2026年9月19日土曜日

ウイスキーラベルに描かれた鳥⑤花と動物シリーズ その参

こんばんは。それでは早速。

Glen Elgin 12
グレン・エルギン12年。現在は「花と動物シリーズ」からのリリースはなく、オフィシャルボトルが販売されています。「花と動物シリーズ」の頃から、ボトルに描かれているのがニシイワツバメで、現行のオフィシャルボトルにも採用されています。

画像はRUDDERさんから

現行品:画像は信濃屋さんから


ニシイワツバメ(Common House Martin) Delichon urbicum
スズメ目ツバメ科イワツバメ属

ユーラシア大陸の広い地域で繁殖。アフリカや東南アジアで越冬。全長15cmと小型のツバメで日本でも稀な旅鳥として主に春の渡りの時期に記録があります。イギリスでは夏鳥として飛来し、日本に夏鳥として訪れる近縁のイワツバメ(Asian House Martin) D. dasypus同様に入口の狭いボール型の巣を作り繁殖。

英名が”House Martin”と言われるように、イギリスなどでは民家に営巣することも多いようで、これはイギリスの民家で繁殖するツバメ類がツバメ(Barn Swallow) Hirundo rusticaと本種の2種類しかいないということが要因と思われます。

日本ではツバメに加えコシアカツバメ(Red-rumped Swallow) Hirundo dauricaも民家で繁殖を行うため、より小型である近縁のイワツバメはこれらの種に追いやられる形で、民家ではなく岩礁の洞窟や橋の裏側などに営巣する場合が多いです。このことが和名「イワツバメ」の由来ともなっているわけですが、それに比べて”House Martin”という英名が付けられている点を考えると、ニシイワツバメとイギリスの人々との距離感が日本のイワツバメとはずいぶん違うことに気づかせてくれます。



Glenlossie 10
グレンロッシー10年。現在も流通しているボトルです。

画像は信濃屋さんから

https://ebird.org/species/sheowl?siteLanguage=ja

コミミズク(Short-eared Owl) Asio flammeus
フクロウ目フクロウ科トラフズク属

同シリーズで採用されている鳥の中では、唯一夜行性の猛禽類。全長37-39cm。分布域はユーラシア大陸と北アメリカ大陸、南アメリカ大陸のアマゾン地域以外ととても広いです。日本では全国で冬鳥として観察される鳥ですが、イギリスやアイルランドでは留鳥。

旧約聖書で猛禽類やサギ類、コウノトリ類は「汚らわしいため食べてはならない」生き物としても登場します。この価値観はどうやら彼らが小動物や魚をハンティングして食べることに由来しているらしいです。ラベルに描かれているのは、コミミズクが人里の上を羽を広げ優雅に飛んでいる様子。


Glen Spey 12
グレン・スペイ12年。現在も流通しているボトルです。

https://d-ksmt.blogspot.com/2017/05/blog-post_24.html


こちらの写真はボトルも鳥も自前で笑

キクイタダキ(Goldcrest) Regulus regulus
スズメ目キクイタダキ科キクイタダキ属

全長10cm、体重3-5gというとても小さい種で、日本を含む分布域のほぼ全域でその地域最小の種の一つ。それはイギリスも例外ではなく、同国最小の鳥です。和名のキクイタダキは漢字で「菊頂」と書き頭頂部の羽毛が黄色いことに由来しています。それは英名”Goldcrest”=「金色の冠羽」や学名(ラテン語)の”Regulus”=「(小さな)王」にも、名の由来がほぼ共通であることが分かります。日本では北海道で夏鳥、本州中部以北で留鳥、以南では冬鳥。イギリスでは全土で留鳥。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

グレン スペイ 12年 700ml
価格:8,000円(税込、送料別) (2026/9/19時点)



Inchgower 14
インチガワー14年。こちらも現在も流通しているボトルです。

画像は武蔵屋さんから


ミヤコドリ(Eurasian Oystercatcher) Haematopus ostralegus
チドリ目ミヤコドリ科ミヤコドリ属

全長45cm。アイルランドの国鳥に指定されている水鳥です。北欧、中央アジア、沿海州、カムチャツカ半島などで繁殖し、西欧、アフリカ西岸、中東、中国南部、日本にかけての海岸で越冬。イギリスやアイルランド、フランスでは他の地域と異なり留鳥。

海岸が主な生息域であり、英名の通り牡蠣などの二枚貝やカニなどを主食としています。ラベルにこのミヤコドリが採用されていることで、インチガワー蒸留所がスペイサイド地方の他蒸留所とは異なり、海に近い地域に所在していることを特徴づけています。


Linkwood 12
リンクウッド12年。こちらも現在も流通しているボトルです。



コブハクチョウ(Mute Swan) Cygnus olor
カモ目カモ科ハクチョウ属

非常に大きな水鳥。全長152cm。ヨーロッパ西・中部、モンゴル、バイカル湖東部、ウスリー川流域で繁殖し、中国東部や朝鮮半島、イラン南部などで越冬。イギリスやアイルランドでは留鳥。

日本を含む多くの地域で籠ぬけし、外来種として問題の種になることもしばしば。実際、日本での野生個体としての記録は、1933年の伊豆諸島八丈島での記録があるのみで、以降確実な野生記録はなく、全国の湖沼や池などで観察されるのは全て籠抜け。上の写真も皇居の日比谷濠で撮影したものです。

日本と違い、ヨーロッパ諸国では古くから親しまれた鳥で、デンマークでは国鳥に指定されています。その優雅な姿から中世ヨーロッパでは「王の鳥」と讃えられ、12世紀以降はイングランドに生息するコブハクチョウは全てイングランド王族の財産とする法律まで作られました。なお、この法律は現在のイギリス王室にも引き継がれており、イギリス中のコブハクチョウを含むハクチョウ類全てが野生、籠ぬけ問わず王室の所有物とされているそうです。

そんなコブハクチョウはリンクウッド蒸留所の冷却水用の池に毎年飛来することで同蒸留所のシンボルとなっています。



ということで、今日はこの辺で。

それでは皆さん、良い夜を。

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